アンドロイドたちはどう”生きる”のか?「DETROIT:BECOME HUMAN」レビュー!!
はじめに
人工知能の発達が取り沙汰される昨今、AIやロボットとどんな風に付き合えばいいのかや、未来がどのようなに変化をしていくのかという話題はつきません。
僕が小学生のころはAIが人間を超えることや、人間のようなロボットが街を闊歩するなんてことは夢のような出来事として映っていました。
ですが、ここ数年の技術の進歩でその夢が現実のものとなる可能性が大きくなってきました。
そんなほんのちょっと先の未来を垣間見せてくれるのが、PS4専用ソフトとして5月25日(金)に発売された「DETROIT:BECOME HUMAN」です。
今回は途中までプレイしたところまでで感想を書いていきます。
「DETROIT:BECOME HUMAN」の世界観
「DETROIT:BECOME HUMAN」の世界観はこんな感じ。
AI技術とロボット工学の発達により、人間そっくりのアンドロイドが製造されるようになり、人間は過酷な労働から解放されようとしていた。
それにより人類は更なる経済発展を手に入れる一方で、失業率が増大、貧富の格差が拡大していった。
アンドロイドによって職を奪われた人々は反アンドロイド感情を持つようになり、アンドロイドの排斥運動にまで発展していった。
ある時、家庭用アンドロイドが所有者を殺害し、所有者の娘を人質に立てこもるという事件が発生した。
そのアンドロイトはまるで人間のような自我・感情を持つように見える「変異体」だった。
「変異体」と呼ばれるアンドロイドたちは与えられた仕事を放棄し逃亡したり、中には人類からの解放を叫び「革命」を起こそうとする者もいた。
アンドロイドは単なる「便利なモノ」なのか?人類は新たな課題を突き付けられる。
(wikipediaより引用)
つまりアンドロイドが街にあふれ、人々は豊かになった一方、一部の人々にとってはアンドロイドは邪魔な存在になっているようです。
またアンドロイドは一部の人間たちから虐待や暴力など理不尽な扱いを受けています。
「人間の友」という部分も見られますが、どちらかと言ったら奴隷に近いでしょうか。
バスにおいては人間が乗る部分とアンドロイドが乗る部分が分かれていたり、アンドロイド入店拒否のお店が点在していたりと、昔の黒人の奴隷制を彷彿とさせるシーンも散見されます。
非常に社会的な作品に仕上がっていますね。
ゲームとしてのおもしろさは?
ストーリーは3体のアンドロイドを操作することで進んでいきます。
自分の行動や会話、考えを選択して進めていくアクションアドベンチャーですが、何気ないことがその後の展開に大きな意味を持つことがあります。
アクションはそんなに難しいものではなく、ある程度ゲームをしたことがある人であれば難なくこなせる程度でしょう。
ただ、PS4のコントローラーの機能をフルに使っており、そういった面での感動がかなりありました。
コップに水を注ぐのに傾きセンサーを利用したり、拭き掃除にタッチセンサーを使うなんて、久々に感動するアクションでした。
ただ、この部分は人によっては嫌がられるかもしれないですね。
主人公や登場人物たちの細かい仕草や会話はかなり生き生きしています。
そういった部分を眺めるのも楽しいです。
まるで映画を見ているようなゲームで「次はどうなるんだ!?」とついつい時間を忘れてやり続けてしまいます。(なので、ブログの更新も間に合わかったんですよぅ)
自分のルート以外もかなりのルートが存在するんですが、フローチャートで分岐を見られるのは非常にいいです。
何回もやる動機につながりますし、見ていない世界線に行くためにはどうすればいいか考えるのは楽しいですよ。
Detroit BECOME HUMAN にて。家事をするアンドロイド。美人さん!! #PS4share pic.twitter.com/mKV0gwlnhb
— ぼくでん (@bokuden0810) 2018年5月25日
ちょっとすごいと思ったこと
こういったストーリー重視のアドベンチャーゲームって選択肢はたくさんあるものの、自由度はある程度制限されてしまいます。
自分の自由に世界を旅できるオープンワールド型のゲームが主流になりつつある昨今の傾向とは相反することが多くなるジャンルのゲームなんですよね。
で、この自由が著しく制限された世界を作るしかない中で、その制限をアンドロイドが守るルールや命令として機能させているんです。
たとえば、公園から店に行く途中、自由に動き回れるとストーリー以外の部分を無数に描く必要があります。
でも、主人の命令で最優先事項であることにすれば、「公園→店」という一直線のルートしか通れなくても設定上無理はありません。
余計な寄り道をプレイヤーにさせないための”見えないカベ”に説得力が出てくるんですよね。
また、行動が本当に自由なゲームでは、例えば気に入らない人を殺してしまうようなプレイもできるようにする必要が出てくることになります。
海外のRPGの多くがこのタイプのゲームです。
ですが「DETROIT:BECOME HUMAN」はそれを許していません。制限があるわけです。
プレイヤーを「絶対に人に危害を与えてはならない」とプログラムされたアンドロイドにすることで、この制限を違和感なくプレイヤーに了承させています。
細かいかもしれないですが、こういった部分はゲーム世界から現実に戻さないための大切な工夫ですよね。
ストーリーの面白さ
もしかしたらあるかもしれない、と思えるようなリアルな世界観と3体のアンドロイドのそれぞれの物語は非常に興味深い仕上がりになっています。
3体が同時期にめぐり合う事柄がそれぞれの違った立場の視点から描かれています。
プレイしていて思い出したのは、ウィル・スミス主演のSF映画『アイ・ロボット』ですね。
アンドロイドにプログラムされている「人に危害を与えてはならない」や「自分を守る」といった事柄は、『アイ・ロボット』の原作アイザック=アシモフ著『我はロボット』のロボット3原則を思い起こさせます。
また、なぜ人に危害を加えてしまうのかといった問題や、人間に対する革命を訴える部分などもロボットものとしては古典的なお約束でとてもいいです。
おそらくまだ、中盤にも差し掛かってないですが、今後の展開も見逃せないでしょう。
おわりに
海外でも非常に評価が高かった「DETROIT:BECOME HUMAN」。
今年発売された数々のゲームの中でもかなり完成度は高いのではないでしょうか。
SFが好きな人、ロボットやAIものが好きな人、海外ドラマや推理ドラマが好きな人、もちろん『我はロボット』が好きな人は絶対に楽しめる内容になっています。
ぜひ、この機会にアンドロイドと暮らす未来の世界を体験してみてください!