教え方のコツ教えます!中学受験・算数の「マイナス」の概念について
はじめに
中学受験をしたことのない大人が中学受験の算数を教えると、戸惑うことがいくつか出てきます。
数学が得意で、あまり苦労をしなかった人が思わず「ウッ!?」となるのがマイナスが使えないこと。
中学受験は数学を使わない前提なので、マイナスは使ってはいけないことになっています*1
ですが、問題を解くときにはどうしてもマイナスの概念を使いたくなってしまう場面があるんですよね。
まあ、テキスト内容を吸収するのが得意な子はあまり引っかからないんですが、逆にちょっと算数が苦手な子は引っかかることがとても多い。
だから、こういうものだって流したりとか、サラッとマイナスについて説明したりとかできないんですよね。
というわけで、今回はマイナスを使わないマイナスの概念の伝え方を考えてみましょう。
そもそもマイナスを使いたいときってどんなときなの?
一番多いのはマルイチ算と呼ばれるタイプの式です。
例1)⑤-24=③+16
のような式の、①に当たる量を求めるような問題ですね。
方程式を習っていれば③を左辺に、-24を右辺に移項するって感じでしょうが、小学生は使えないわけです。
こんな式あまり見ないよ、って思うかもしれないですが、少し複雑な相当算や分配算、ニュートン算といった問題を解く過程で出てきますからね。
つまり、これが身についていないと上位校と呼ばれる学校を目指すのが難しくなると言えます。
考え方を問題の解説しながら見ていきましょう。
マルイチ算は図を使って理解しよう!
まずは図を見てみましょう。
手書きの図なので汚いですが、こんな感じ。
式の「=」を「同じ量」という意味として考えます。
「⑤から24を少なくした量」と「③に16を増やした量」は同じ量です。
それを図にすると、⑤と③の量の差がわかります。
もちろん〇で表すと②、普通の数字で表すと40です。
ということは
②=40
ですから、
①=20
になります。
こんな風に理解すれば、マイナスや移項といったことを使わずとも式は解くことができるわけです。
なお、図の向きをタテにして書きましたが、ヨコでもいいですよ。
また、線分図にしてもいいですが、棒グラフ的な方がわかってもらいやすいですかね。
普通は学校でも棒グラフを扱うので子どもも見慣れています。
おわりに
講師の中にも算数を教えている保護者の中にも、中学受験の式の扱いに困ることはあります。
正直な話、中学受験の算数は、普通の算数とも数学とも違います。
ですから、教え方に困るのは普通のことです。
ですが、だからといって、わからないものをそのままにしてしまうのはいけません。
自分自身も勉強して、子どもたちのために力になってあげるようにしましょう!
*1:実際には方程式を教える塾も少数あるのですが。